5月13日、アーバンデザイン研究会を開催しました。


5月13日、アーバンデザイン研究会を開催しました。

「三宮再整備を中心とする神戸の都心空間再編」をテーマとして、行政施策に関する情報交換のため、神戸市・さいたま市の関係各課の皆様にお越し頂き、意見交換を行いました。遠方よりお越し頂きました神戸市の皆様はじめご参加頂けた方々に感謝申し上げます。

今回の研究会は、UDCOが2019年2月に神戸へ視察に伺ったことに端を発します。

大宮で現在行われている駅周辺地区の都市更新、公共施設機能の再編計画、街路空間の利活用などの施策・取組は、神戸三宮駅周辺の地区において取り組まれている「三宮再整備構想」等と類似する点が多く、地区の課題や行政施策上工夫されたことなどを伺うことで、今後の大宮のアーバンデザインにおいて参考になるであろうと考え、視察に伺ったところでした。

研究会では、この視察の際に得た知見について情報共有をすると共に、参加者間でディスカッションを行い、課題認識や気づきを共有することができました。

冒頭、副センター長の藤村からは、別途行われた久元神戸市長へのインタビュー等の内容も踏まえて、神戸で展開されてきた都市計画(あるいはまちづくり)のこれまでについて、皆様にお話しをさせて頂きました。

戦災復興以後、海と山が近接した神戸の地形を上手く活用し、海面埋め立てや宅地造成により都市開発・企業誘致を行ってきたこと、あるいは地区計画制度創設以降、それらを含め積極的に地区計画を用いてまちづくりを行ってきたこと、さらに阪神淡路大震災を経験し、震災復興以降、以前のように公共がデベロッパーとなって都市開発を進める方式には限界が見えつつも都心機能を維持すべく社会資本の再整備を進めてきたことなどの経緯を経て、神戸市は2017年に災害復旧債を返済し終えて新たなフェーズに入り、漸進的な都市開発計画の事業化に向けて動いています。大阪のベッドタウン化を避けるとともに神戸らしいデザインで商業・居住機能の集積を図り、新たな居住形態の誘導をしながら都心の持続性を維持していく、三宮再整備を中心とする神戸の都心空間再編は、そんな背景の中で神戸市が主導的に仕掛ける取り組みでした。

主要な取組を「えき」「まち」「みち」の観点からまとめてみました。

「えき」

鉄道・地下鉄計6線の結節点として機能する三宮駅周辺において、乗換改善を契機としながら立体的な歩行者回遊空間を創出する、目玉となる「三宮クロススクエア」は駅前の主要な幹線道路の歩行者専用化するという構想。それらを景観の仕組みを活用しながらデザイン調整会議で協議調整を図る。駅及び駅周辺の構想として、大宮では「大宮駅グランドセントラルステーション化構想」が近しい計画となる。官民の連携により、いかに発信力のある都市空間を創出できるかという点で官民の調整を担っていく「デザイン調整」の機能がポイントとなります。

「まち」

公共施設機能の再編や関連する開発事業、あるいは都心地区に計画される民間開発事業において、適切な土地利用を誘導していく都市計画手法に関して。神戸市では景観法関連制度や特別用途地区制度を用いて、例えばSOHOなどの住宅用途について規制を緩和できる仕組みを取っています。大宮では「公共施設跡地活用計画」において多様な都市機能の導入を視野に検討を進めています。様々なインセンティブを用いながら、創造性を持続できる都心機能をいかに誘導していけるかがポイントとなります。

「みち」

道路空間活用実験「KOBEパークレット」により、実験的に賑わい創出等を試み、検証結果をその後の利活用型の道路設計に活かしていく。さらに広告協賛等によりマネジメント費用を捻出していく、そうした取組を神戸市では市道路部局が主導となって行っています。大宮では、UDCOにより街路沿道の利活用「おおみやストリートテラス」が行われ、公共空間の活用を進めています。道路空間活用による実証効果をいかにその後のストリートデザインへ展開し、公共空間のマネジメントへつなげていけるかがポイントとなります。

テーブルディスカッションでは、制度や仕組み、都心の機能として本来あるべき姿についての議論、あるいは実務的な障壁などが話題にのぼり、有意義な会となりました。

神戸市とさいたま市の比較から見えてきたそれぞれの良い点を咀嚼し、大宮における「えき」「まち」「みち」の相乗的な取組あるいはその仕組みづくりにつなげていけると良いのではないかと思いました。

引き続き、大宮に活かすべく各地での取組を研究して参りたいと思います。